IT用語集

テレワークのセキュアコンテナ方式とは? | 特徴と向く業務を解説

水色の背景に六角形が2つあるイラスト 水色の背景に六角形が2つあるイラスト
アイキャッチ
目次

テレワークのセキュアコンテナ方式とは?できること・できないこと、他方式との違い

セキュアコンテナ方式は、端末の中に仕事用の別領域を作り、その中だけで会社データや業務アプリを扱う考え方です。結論から言うと、会社データを私物の領域や端末内の保存先へ広げすぎずに、閲覧、軽い修正、承認、メール確認などを行いたい場面で使いやすい方式です。一方で、専用ソフトや重い業務アプリ、機器との連動が前提の作業には合いません。

  • 使いやすい場面:営業向けの資料の閲覧、見積書の確認、承認、メール、チャット、社内ポータルの利用
  • 使いにくい場面:CAD、動画の編集、開発で使う環境、特殊な機器を使う作業
  • 導入時に先に見る点:対応アプリの範囲、保存の制限、コピーや共有の制御、BYODで使うときの端末の管理

ただし、この方式は万能ではありません。使えるアプリや業務を絞ることで安全性を高める考え方なので、「オフィスでしていることをそのまま全部持ち出したい」という要望とは合いにくい方式です。広く何でもできる方式ではなく、できることを絞りやすい方式として理解したほうが実態に合います。

まず各方式の違いをまとめて見たい場合は、テレワーク方式の比較を先に確認すると全体像をつかみやすくなります。自社に合う方式の選び方から見たい場合は、テレワーク方式の選び方もあわせて確認してください。

セキュアコンテナ方式とは

端末の中に仕事用の別領域を作る

セキュアコンテナ方式とは、テレワーク端末の中に、ふだん使うローカル環境とは切り分けた仮想的な作業用スペースを設け、その中だけで会社のデータや業務アプリを扱う考え方です。端末全体を会社用にするのではなく、「仕事で使う場所だけ」を別に用意するイメージです。

総務省のテレワークセキュリティガイドラインでは、近い考え方が「アプリケーションラッピング方式」として示されています。テレワーク端末内にローカル環境とは独立した「コンテナ」を設け、その中で業務用アプリを動かし、ローカル環境にアクセスしにくくする方式です。

どこへ保存できるかを絞る

この方式は、端末そのものを安全にするものではありません。会社が扱わせたいデータやアプリを端末内の限られた領域に閉じ込め、外へ広がりにくくする考え方です。だからこそ、何をコンテナ内で扱い、何を扱わせないかを最初に決めておかないと、運用が半端になりやすくなります。

使えるアプリを絞る

利用できるアプリを限定しやすいため、保存先の制御や管理を行いやすい点も特徴です。一方で、オフィスでしている業務をそのまま全部持ち出す用途には向きません。

仕組みと他方式との違い

構成は、端末側にセキュアコンテナ用のアプリや管理の機能を用意し、その中で会社が指定したアプリを動かす形です。コンテナ内で使えるアプリや用途は、製品ごとに変わります。

セキュアブラウザ方式との違い

違いは、利用の中心がブラウザだけか、コンテナ内で動くアプリまで含むかにあります。セキュアブラウザ方式はブラウザ経由の利用を中心に設計されることが多いのに対し、セキュアコンテナ方式は、コンテナ内で動くアプリを通じて文書の確認や軽い修正、承認まで行える製品があります。

VPN方式VDI方式との違い

VPN方式は端末側に業務ソフトやデータが残りやすく、VDI方式は処理の中心をデータセンター側に置きます。これに対してセキュアコンテナ方式は、端末側で使うアプリを絞りながら、保存先や受け渡しを制御しやすい方式です。どれが合うかは、端末に何を残すか、通信への依存をどこまで許容するか、使いたいアプリをどこまで広げたいかで変わります。

クラウドサービス方式との違い

クラウドサービス方式は、テレワーク端末からクラウド上の業務サービスへ直接つないで作業する考え方です。これに対してセキュアコンテナ方式は、端末内に仕事用の別領域を設け、その中で会社が許可したアプリを動かします。クラウド中心で業務が完結するか、端末内でアプリやデータの受け渡しまで制御したいかで、どちらが合うかが分かれます。

使えないアプリが出る

コンテナに対応していないアプリや、コンテナ内のアプリだけでは完結しない業務は外に残ります。導入前の切り分けが甘いと、運用に無理が出やすくなります。

会社データを切り分けやすい

管理する側の利点は、端末全体を強く縛らなくても、会社データに触れられる範囲を絞って管理しやすいことです。使う側でも、私用アプリと会社アプリの領域が分かれるため、会社データと私用データが混ざりにくくなります。

主なよい点

会社データを端末全体へ広げにくい

セキュアコンテナ方式の大きな利点は、会社データを端末全体に広げずに扱いやすいことです。コンテナ上で動くアプリは、ローカル環境への保存や他アプリとの受け渡しが制限されるよう設計されることが多く、会社データを個人用アプリや私的な保存先へ流れにくくできます。

役割ごとに使うアプリを絞りやすい

たとえば、営業の担当者には資料の閲覧、見積書の修正、承認の申請まで、管理職には承認と閲覧を中心に、というように、役割ごとに使えるアプリを絞りやすい方式です。不要な持ち出しや誤操作を減らすうえでも有効です。

画面転送の方式より通信の影響を受けにくい場面がある

リモートデスクトップやVDIのように、常時の画面転送を前提にする方式では、回線の状態が操作感に直結します。セキュアコンテナ方式は端末側でアプリが動く構成が多く、画面を転送する方式とは通信のかかり方が異なります。ただし、どこまでオフラインで使えるか、通信が不安定な場面で何ができるかは製品ごとに変わります。

スマートフォンやタブレットで使いやすい場面がある

スマートフォンやタブレットで本格的な文書の編集を快適に行うのは難しいものの、確認、軽い修正、申請、承認、チャット、予定の確認といった用途なら現実的です。外出先で少しだけ会社の情報に触れたい場面では、端末まるごと会社向けの設定にするより扱いやすいことがあります。

主な注意点

できる業務が限られる

この方式の弱点ははっきりしています。コンテナに対応したアプリが前提なので、専用ソフト、重い業務アプリ、社内だけで使う独自のツール、機器との連動が必要な作業には合いません。

万能だと考えると失敗しやすい

導入側が誤りやすいのは、会社データを安全に扱える方式だと受け取り、万能な持ち出し環境だと考えてしまうことです。実際には、閲覧、軽い編集、承認には向いていても、複雑な帳票の処理や特殊な基幹系の操作まで対応できるとは限りません。弱点を見ないまま使う範囲を広げると、現場は別の手段へ流れ、管理の外にある持ち出し経路が増えます。

製品ごとの差が大きい

「セキュアコンテナ」と一口に言っても、何をコンテナ内で扱えるか、コピーをどこまで制御できるか、オフライン利用を認めるか、MDMとどう連携するかは製品ごとにかなり違います。方式名だけで判断すると危険です。導入を予定している製品で、実際に必要な作業が回るかを確かめる必要があります。

運用ルールが曖昧だと管理が崩れる

コンテナの中で資料を見られるようにしても、スクリーンショット、画面の共有、外部との受け渡し、私用クラウドへの転記などの扱いが曖昧だと、管理の意味が薄れます。技術で閉じ込めるだけでは足りません。どこまで許可し、どこから禁止するのかを文章で決める必要があります。

使いやすい業務・使いにくい業務

使いやすい業務

使いやすいのは、業務の範囲をある程度絞れる仕事です。たとえば、営業向けの資料の閲覧と軽い修正、見積書の確認、ワークフロー承認、社内ポータルの閲覧、グループウェアの操作、チャット、メール、報告書の下書きなどは載せやすい業務です。とくに、スマートフォンやタブレットでも最低限の処理ができればよい部署では使いやすくなります。

モバイル勤務で使いやすい場面

家で働く場合よりも、モバイル勤務で使いやすいことがあります。移動中や訪問先で「少しだけ会社の情報を見たい」「承認を返したい」「添付の資料を確認したい」といった短時間の利用では、セキュアコンテナ方式が候補に入りやすくなります。

使いにくい業務

一方で、CAD、動画の編集、開発で使う環境、特殊な機器を使う作業、紙と連動する複雑な処理、社内の多くの業務システムをまたぐ作業には合いません。こうした業務では、VPNリモートデスクトップ、場合によってはVDIのほうが筋が通ります。各方式の比較は、テレワーク方式の比較で確認できます。

先に考えるべきなのは、どの業務を守りながら持ち出したいのかという点です。方式の知名度から入ると、業務のほうを方式に合わせることになり、運用に無理が出ます。

セキュリティ上の注意点

コピー、保存、共有の抜け道を先に確認する

セキュアコンテナ方式は安全そうに見えても、現場で使いにくいと別の持ち出し経路に流れます。メールに転送する、写真を撮る、私用メモに転記する、外部ストレージへ持ち出す、といった行動です。だからこそ、導入時に見るべきなのは表向きの機能の一覧ではなく、コピー、保存、共有、印刷、画面キャプチャをどこまで制御できるかです。

認証が弱いと守りきれない

コンテナ内にデータを閉じ込めても、認証が弱ければ意味がありません。多要素認証、端末ロック、入力を何回まで間違えたら止めるか、離席時の自動ロックなど、認証まわりを固める必要があります。方式名だけで安全になるわけではなく、認証と持ち出し制御を組み合わせて初めて安全性が高まります。

管理する対象を一覧で確認できるようにする

どの端末にどのアプリを配り、どの部署にどの権限を与えたかを一覧で確認できないと、退職や異動のときに設定の抜けが残ります。セキュアコンテナ方式は「端末まるごとを管理しなくてもよい」と受け取られがちですが、実際には、コンテナを使える端末と利用者の対応を継続して確認できる状態にしておかないと運用が崩れます。

ルール・人・技術を一緒に見る

技術だけで解決できる問題ではありません。テレワークの安全対策は、「ルール」「人」「技術」をまとめて整えて初めて機能します。方式選びだけで終わらせず、教育、持ち出しルール、緊急時の連絡先まで含めて整える必要があります。詳しくは、テレワークセキュリティの基本で確認してください。

BYODで使うときの注意

セキュアコンテナ方式は、私物の端末で使われることもあります。ただし、私物の端末を使う場合でも、許可した端末と利用者の把握、端末側の守るための対策、アクセス時の多要素認証、紛失時に備えたMDMなどによる保護を前提に考える必要があります。私用の領域と仕事の領域を分けやすいことと、安全に運用できることは同じではありません。

BYODで導入する場合は、端末の紛失や盗難を前提に、MDMによる遠隔で消去、ログイン時の認証ポリシーの適用、記録用の媒体の暗号化などを確認しておく必要があります。加えて、どの端末を許可し、誰が使っているのかを一覧で確認できる状態にしておかないと、異動や退職、端末の買い替えのときに管理が崩れます。

また、従業員との合意も欠かせません。私物の端末に会社の管理の機能を入れる以上、会社が確認できる範囲と確認しない範囲を明確にしないと、運用への不信感が生まれます。線引きを曖昧にしたまま進めると、管理を避けるために別の手段が使われ、かえって統制が弱くなります。

BYOD全体の整理は、テレワークBYODとは?会社支給端末との違いとリスクで詳しく解説しています。

まとめ

セキュアコンテナ方式は、端末の中に仕事用の別領域を作り、会社データを私物の領域へ広げにくくする方式です。閲覧、軽い修正、承認、メール確認のような業務では使いやすい一方、重い業務アプリや機器との連動が必要な作業には合いません。判断するときは、使いたいアプリの範囲、保存や共有の制御、認証、端末の管理まで含めて見る必要があります。

よくある質問

セキュアコンテナ方式とセキュアブラウザ方式の違いは何ですか

セキュアブラウザ方式は、ブラウザ経由の閲覧や限られた操作に寄りやすいのに対し、セキュアコンテナ方式は、コンテナ内で動くアプリを使って、閲覧だけでなく一定の修正や承認まで行える製品があります。ブラウザ中心で足りるならセキュアブラウザ方式、軽い編集や複数アプリの利用まで必要ならセキュアコンテナ方式を候補に入れる見方が分かりやすいです。

セキュアコンテナ方式なら端末をなくしたときも安心ですか

リスクは下げやすくなりますが、それだけで十分ではありません。暗号化、端末ロック、遠隔で消去、認証を強くすることを組み合わせて初めて効果が出ます。方式名だけで安全だと判断するのは危険です。

どんな企業で使いやすいですか

会社データを私物の領域へ広く残したくない一方で、モバイル端末で確認や承認、メール対応のような軽い業務を行いたい企業で使いやすい方式です。逆に、社内と同じ業務をそのまま全部行いたい企業には合いません。

セキュアコンテナ方式ならBYODを広く認めてよいですか

条件付きです。私物の端末を使う場合でも、許可した端末と利用者の把握、端末側の守るための対策、多要素認証、紛失時に備えたMDMなどによる保護を前提に考える必要があります。私用の領域と仕事の領域を分けやすいことと、安全に運用できることは別の話です。

オフラインでも使えますか

製品による違いが大きいです。端末側でアプリが動く構成なら、画面を転送する方式とは通信のかかり方が異なりますが、どこまでオフライン利用を認めるかは製品ごとに変わります。オフライン前提なら、スタンドアロン方式との違いも確認してください。

導入時に最初に見るべき項目は何ですか

対応アプリの範囲、コピー・保存・共有の制御、認証の方式、MDM連携、ログ取得、退職や紛失時にどう止めるかです。ここを見ずに価格や見た目だけで決めると失敗しやすくなります。

セキュアコンテナ方式はスマートフォンやタブレットでも使えますか

製品による違いはありますが、確認、軽い修正、承認、メール、チャットのような用途では、スマートフォンやタブレットと相性がよいことがあります。一方で、重い業務アプリや機器との連動が必要な作業は、端末の種類を問わず合いません。

クラウドサービス方式と併用できますか

できます。コンテナ内で会社が許可したアプリを使ってクラウドサービスへ接続する構成は現実的です。ただし、どのクラウドサービスを使えるか、ファイルの受け渡しをどこまで制御できるかは製品ごとに変わります。

MDMがないと運用は難しいですか

会社が貸した端末だけで運用する場合でも管理の手段は必要ですが、とくにBYODやスマートフォン運用では、紛失や盗難への対策、設定の強制、使う端末の把握のためにMDM連携を確認したほうが安全です。

PoCでは何を確認すべきですか

実際に行いたい業務がコンテナ内で完結するかを確認することが最優先です。あわせて、コピー・保存・共有の制御、ログ取得、認証、オフライン時の挙動、退職や端末をなくしたときにどう止めるかまで見ておくと、導入後のずれを減らしやすくなります。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム