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SIEMとは? わかりやすく10分で解説

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目次

SIEMの基本と目的

グローバルなビジネス環境の中では、サイバー攻撃からビジネスを保護するための有効なソリューションが必要不可欠になりました。このニーズに答える一つの方法が、SIEM(Security Information and Event Management)によるセキュリティ情報イベント管理です。

到底手作業では対応できない複数のセキュリティインシデントを自動的に検出、追跡、対応することが可能になります。また、組織全体のセキュリティを一元的に管理することもできます。

この章では、SIEMの基本的な概念とその目的を詳しく解説します。それにより、SIEMをどのように活用できるのか理解を深めることができます。

SIEMの定義

SIEM(Security Information and Event Management)は、セキュリティ情報イベント管理の略称で、セキュリティ機器やネットワーク機器からのログを一元的に管理し、セキュリティインシデントを自動的に発見するためのシステムのことを指します。

相関分析を行い、時間的・空間的な関連性を見つけることで、セキュリティインシデントの予兆や痕跡を自動的に検出します。これらの情報は、それぞれの機器から独立して収集され、分析されます。

さらに、SIEMにはアラート機能も備えており、異常が検出されるとすぐに対応が可能となります。これを通じて、セキュリティ運用の効率性・効果性を高めることができます。

SIEMが必要な理由

現代の世界では、セキュリティインシデントは絶えません。それらを的確に検出し、迅速に対応することが求められています。

SIEMは、複数のセキュリティ機器からのログを一元的に収集・管理することで、全体像を把握しやすくなります。また、相関分析によりセキュリティイベントのパターンを見つけ出し、早期の対策が可能となります。

更に、SIEMはリアルタイムの分析が可能であるため、セキュリティ状況の現場の把握や迅速な対策選択、実行を支援します。このような要素は、SIEMがビジネス環境で必要とされる理由と目的を説明する上で重要な要素です。

SIEMによるセキュリティ管理

SIEMは、セキュリティ管理を一元的に行うための重要なツールとなっています。それは、複数のセキュリティ機器からのログを一元的に収集・管理することで、全体のセキュリティ状況を把握しやすくなるからです。

これにより、セキュリティ専門家は、状況をより把握しやすく、セキュリティインシデントへの対応もより即座に行うことが可能になります。

またSIEMは、その相関分析機能によりセキュリティインシデントの予兆を見つけることができます。これにより、問題が深刻化する前に対策を講じることが可能となります。

SIEMの重要性

SIEMの一番の大きな特長は、リアルタイムでのセキュリティ管理を可能にすることです。これは組織にとって大きな利点となります。なぜなら、一つ一つのセキュリティインシデントを個別に追跡・管理するという従来のアプローチとは異なり、組織全体の視点からセキュリティ状況を一元的に把握・管理できるからです。

これにより、セキュリティ管理の手間と時間を大幅に削減し、専門家の手をより重要なタスクに割り当てることが可能となります。

また、SIEMは予期せぬセキュリティインシデントに早期に対応する能力を高めます。これにより、セキュリティインシデントがビジネスに及ぼす影響を最小限に抑えることが可能となります。これらの理由から、SIEMは継続的なセキュリティ管理において、その重要性を増しています。

SIEMの主な機能

SIEM(Security Information and Event Management)は、セキュリティインシデント管理を円滑に行うための重要なツールであり、その主要な機能はログの統合管理、相関分析によるインシデント早期発見、脅威への早期対策、セキュリティポリシーの適用とレポート生成です。これらの機能が働くことにより、企業はセキュリティ状況を正確に把握し、適切な対策を迅速に実行することができます。

ログの統合管理

ログの統合管理は、SIEMの中心的な役割であり、各種のセキュリティ機器やネットワーク機器から発生するログを一元的に収集し、整理します。これにより、ログの統一的な管理と分析が可能となり、セキュリティ状況の把握を効果的に行えます。

さらに、様々な機器から発生するログを一元管理することで、脅威の全体像を見ることが可能となるため、部分的な対応よりも効果的な対策が可能となります。

相関分析によるインシデント早期発見

相関分析によるインシデント早期発見は、収集したログを時系列やイベントごとに分析し、セキュリティインシデントの予兆や痕跡を早期に検出する役割を持っています。

これは、異常な行動や不正アクセスの傾向を把握し、その早期発見につながる重要な機能です。

脅威への早期対策

SIEMのもう一つの重要な機能である脅威への早期対策は、インシデントの予兆や痕跡を発見すると、その情報をリアルタイムでアラートとして管理者に通知します。さらに、SIEMシステムは、インシデントの性質に応じた対策を自動的に適用することも可能です。

これにより、迅速な対応が可能となり、インシデントによる被害を最小限に抑えることが可能となります。

セキュリティポリシーの適用とレポート生成

セキュリティポリシーの適用とレポート生成機能は、企業のセキュリティ対策を一層強化します。SIEMは、機器から収集した情報を基にセキュリティポリシーのアップデートを提示します。

また、定期的なレポート生成により、組織内のセキュリティ状況の可視化を実現し、必要な改善点の明確化と対応策の選定を容易にします。

SIEMの具体的な使い方と設定

SIEMを効果的に活用するためには、適切な使い方と設定が不可欠です。ここでは、SIEMの初期設定の重要性、ルールの設定ポイント、ログ収集と分析のプロセス、レポートの利用法とアラート設定について解説します。

初期設定の重要性

SIEMの初期設定は非常に重要です。これによってシステムのセキュリティレベルが大きく影響を受けます。初期設定では、どのようなログを集め、どのような形で分析を実行するかが決定されます。

一方で、初期設定が複雑であるため、時間とリソースを必要とします。しかし、初期設定を適切に行うことで、SIEMの高度な機能を十分に活用することが可能となります。

初期設定を行う際は、専門知識を持つエンジニアが行うか、もしくはSIEMベンダーのサポートを受けることを推奨します。

ルール設定のポイント

次に、ルール設定のポイントを説明します。ルール設定では、どのようなセキュリティイベントが発生した際に通知を受けるかを定義します。これにより、異常検知の精度と早期対応が可能となります。

しかし、ルール設定は煩雑であり、適切なルールを設定するためには深いセキュリティ知識が必要となります。また、組織のセキュリティポリシーや業務内容に応じてルールをカスタマイズすることが重要です。

ルール設定を行う際は、ベンダーの提供するデフォルトルールを参考にするとともに、組織特有のリスクを理解し、そのリスクを軽減するためのルールを設定することが求められます。

ログ収集と分析のプロセス

ログ収集と分析のプロセスは、SIEMの中心的な機能です。すべてのセキュリティ機器とネットワーク機器からログを一元的に収集し、これを分析することにより、セキュリティインシデントを早期に発見します。

ログ収集はリアルタイムで行うことが理想的ですが、リソースや負荷等の観点から一定期間ごとに行うこともあります。また、収集したログの分析は手動で行うことも可能ですが、大量のログを効率よく分析するため、機械学習等を活用した自動分析が一般的です。

ログ収集と分析を行うためには、適切なツールやプラグインの選択、設定、運用が必須です。また、分析結果を適切に解釈し、必要な対策を実行するためには専門的な知識と経験が不可欠です。

レポート利用法とアラート設定

最後に、レポートの利用法とアラート設定について説明します。SIEMから得られるレポートは、セキュリティインシデントの発見だけでなく、業務改善やセキュリティポリシーの見直し、計画策定のための貴重な情報源となります。

レポートからは、特定の期間におけるイベントの傾向やパターン、異常な挙動、攻撃の試みなどを視覚的に把握することができます。これらの情報を基に、適切な対策を迅速に実行することが求められます。

また、アラート設定では、異常検知時に自動的に通知を受ける設定を行います。アラートの設定条件は業務の性質やセキュリティポリシーによります。適切なアラート設定により、セキュリティインシデントの早期発見と迅速な対応が可能となります。

SIEMのメリットとデメリット

SIEM(Security Information and Event Management)は、ログの統合管理とセキュリティインシデント自動発見のための強力なソリューションです。しかしながら、全てのシステムやツールと同様、それには独自のメリットとデメリットが存在します。以下では、その主要なメリットとデメリットを詳細に見ていきましょう。

SIEMの主なメリット

一元的なログ管理:SIEMは各種セキュリティ機器やネットワーク機器からのログを一元的に管理する能力を有しています。これにより、システム全体の見通しが良くなり、管理者は問題の発見とその解決を迅速に進めることができます。

相関分析による早期発見:SIEMは収集したログを相関分析する機能を持っています。そのため、セキュリティインシデントの早期発見が可能となります。

リアルタイム分析:SIEMはリアルタイムの分析を可能にし、早期発見と迅速な対策実施に繋がる能力を提供します。

SIEMの課題

ネットワークトラフィック増大:SIEMの適用により、ネットワークトラフィックが増大する可能性があります。これは、ログを収集し分析する過程で生じる現象です。

ログ粒度の課題:ログの粒度が粗い場合があります。これは、正確な分析と結果の解釈に制限をもたらす可能性があります。

時間要素:適切なルールの作成、調整、そしてSIEM自体の運用開始には一定の時間が必要です。

SIEMのデメリットへの対策

ネットワークの調整:ネットワークトラフィックの増大に対処するためには、ネットワークの調整やキャパシティの拡張が必要です。

パラメータの調整:ログの粒度が粗い問題に対しては、パラメータの調整やSIEMソリューションのカスタマイゼーションが有効です。

時間とリソースの計画:SIEM導入に要する時間に対処するためには、十分な時間とリソースの計画が必要になります。

SIEMの導入コストとROI

SIEMの導入は、導入や設定、運用に関わる初期コストと維持費が必要です。そのため、その利益(ROI)を慎重に評価することは非常に重要であります。

しかし、有効に活用されたSIEMは、インシデント発生の予防や早期発見、そしてそれに伴うコスト削減に繋がります。したがって、中長期的な視点でのROIは非常に高いと言えます。

以上のような事項を勘案し、自社のビジネス環境やリスクを理解した上で、SIEM導入の是非を判断いただくことをお勧めいたします。

SIEM運用時の注意点とベストプラクティス

SIEMの運用にあたり、その性能を最大限に引き出し、安全で効果的なセキュリティ対策を維持するために知っておくべき注意点とベストプラクティスがあります。以下でそれらについて詳しく見ていきましょう。

ネットワークトラフィックへの対策

SIEMは大量のデータを処理しますが、その結果として、ネットワークトラフィックが増大する傾向があります。これはシステムのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。

したがって、SIEMシステムの導入前に、必要なネットワーク容量とシステムのパフォーマンス要件を確認し、適切なネットワーク環境を確保することが肝心です。

また、可能な場合は、ログデータを圧縮してネットワークを介して転送するといった対策も有効です。

ログの粒度と品質について

SIEMは各セキュリティ機器やネットワーク機器からのログデータを中心に分析を行いますが、ログの粒度が粗すぎると有意義な情報を見逃す可能性がある一方、細すぎると膨大なデータ量に対応できなくなる可能性があります。

そのため、必要な粒度と品質のバランスを精査し、適切なログ設定を行うことが重要です。

これには、所定のログデータを定期的に精査し、粒度と品質の最適な設定を維持するための定期的な調整が必要です。

運用初期のストレス軽減策

SIEMの導入と運用初期は、新たなシステムに慣れるための時間とエフォートが必要です。特に、適切なルールの制定や運用開始までに時間がかかるのが一般的です。

このストレスを軽減するためには、初期の運用に対する計画や対応策も準備することが有効です。この段階で、必要なスキルを持つ人材を適切に配置し、必要なトレーニングを提供することも重要です。

また、SIEMの導入ベンダーからのサポートを最大限活用することも、初期の運用がスムーズに進む一助となります。

SIEM運用チームの役割とスキル要件

SIEM運用チームは、一連のセキュリティインシデントの発見や解決を担当します。したがって、チームメンバーはSIEMの運用に必要な高度なスキルを持つことが求められます。

これには、セキュリティの原則と実践、ネットワークとアプリケーションの知識、そして他のIT部門との協調性が含まれます。

また、SIEMシステムの導入後も、技術は絶えず進化するため、スキルのアップデートと新たな知識の取得が必要となります。これらの要件を満たすために、定期的なトレーニングと教育が重要となります。

SIEMの今後の展望

セキュリティ情報イベント管理(SIEM)は、ログの収集と相関分析によりセキュリティインシデントの早期発見を実現する注目のソリューションです。しかし、その可能性はそれだけに留まりません。今後のSIEMの展望と新たなトレンドについて見ていきましょう。

その中でも特に注目されるのが、リアルタイムインシデント検出の重要性と、NTA(Network Traffic Analysis)やEDR(Endpoint Detection and Response)といった他のソリューションとの組み合わせ、さらにはAIや機械学習の活用です。

これらを活用することで、より強固なセキュリティ対策と高度なインシデント管理が実現できるでしょう。

リアルタイムインシデント検出の重要性

リアルタイムのインシデント検出は、今後のSIEMの一つの重要なキーとなります。これにより、一時的な異常から長期的な脅威まで幅広いセキュリティインシデントを早期に発見、対処することが可能となります。

現在では、多くの企業がパスワードの脆弱性や不正ログインの試行など、日々発生するインシデントに対応するためにリアルタイムインシデント検出の重要性を認識しています。

しかし、そのためには適切なログの収集、統合、分析が必要となり、これらを実現するのがSIEMの役割です。

NTA(Network Traffic Analysis)との組み合わせ

NTA(Network Traffic Analysis)は、ネットワークのトラフィックを分析し、異常行動を自動的に検出する技術です。SIEMと連携させることで、異常トラフィックを自動的に検出し、その原因や影響を分析することが可能となります。

また、NTAはセキュリティ監視の視野を広げ、不正アクセスやデータ漏洩などの脅威に対する早期警戒や対策が可能となります。

このように、NTAとSIEMを組み合わせることで、より高度なセキュリティ対策を実施することが可能となります。

EDR(Endpoint Detection and Response)との連携

EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイント(PCやサーバなどの最終端のデバイス)を監視し、セキュリティインシデントを早期に発見・対応するためのソリューションです。SIEMとEDRを連携させることで、エンドポイントの異常行動を自動的に検出し、それに対する速やかな対策を行うことができます。

また、SIEMとEDRの連携により、エンドポイントのセキュリティ状況をより精密に把握し、対策の最適化を可能とします。

これは、エンドポイントがサイバー攻撃の主なターゲットとなる現状において、非常に重要な対策と言えるでしょう。

AIと機械学習の活用

AIと機械学習の活用により、大量のログデータから異常パターンを自動的に抽出し、未知の脅威に対しても迅速に対応することが可能となります。

また、AIが提供する高度な分析機能により、複雑なセキュリティインシデントを識別し、その原因や影響を迅速に把握することができます。

これらの技術を活用することで、SIEMはそれ自身を進化させ、より高度なセキュリティ対策を可能とするものと見込まれます。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム