イベント報告

【ウェビナー】いま求められる無線LANの条件とは?情シス担当者へのアンケート結果からネットワーク運用のあり方を考える

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変化する社会環境に適応していくため、多くの企業ではデータとデジタル技術を活用し自社の競争力向上を目指す、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。こうした背景から、業務で用いるネットワークやアプリケーションが増えたことで、情報システム部門(以下、情シス)が担当する業務も多様化しました 。従来よりも幅広い業務を任されるようになった 情シスは多くの課題を抱える一方、日々の業務に追われ課題の解決策を模索する時間を捻出することはおろか、社内ネットワーク等の管理さえも難しいというケースが 散見されます。

そこで、株式会社ソリトンシステムズ(以下、ソリトン)は全国の情シスを対象に、業務で抱えている悩みや課題、システムの選び方などについて アンケートを実施しました。その結果を踏まえ、2023年6月29日にジュニパーネットワークス株式会社と「全国の情シス1,107名に聞きました。いま本当に求める無線LANの条件とは?」というテーマでウェビナーイベントを共催。情シスが抱える課題やその解決策について、講演を実施しました。

今回の記事では、イベントの概要や実施背景、各社による講演のポイントをご紹介します。

情シスが抱える課題を解決するために。ジュニパーとソリトンがウェビナーを共同開催

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業がリモートワークを導入しました。これに伴い、IT技術や無線LANの需要が高まり、その進化も目覚ましいものがあります。例えば、高速で安定した通信を実現するWi-Fi 6や、6GHz帯対応の最新規格Wi-Fi 6Eなどの技術が開発されています。

より安定した通信、干渉の少ない快適なWi-Fi環境の実現が進む一方で、無線LANは有線LANに比べて、外部からの不正侵入(アクセス)に気づきにくいといったセキュリティ面での課題もあります。昨今ではオフィス勤務と在宅勤務を併用するハイブリッドワークが拡大したことでネットワーク経路が増えたため、以前より不正侵入のリスクが増大しています。そのため定期的な監視やセキュリティ対策が求められますが、企業の無線LANを運用、保守する情シスはひとり情シスも珍しくないなど、人手が足りていません。リモートワークによって増えた端末やアプリケーションの管理も負担となっており、従来の業務を行うためのリソースが不足するなどの影響が出ています。その結果、無線LANのトラブルやセキュリティインシデントが発生するリスクが高まっているのです。

このような状況を受け、ソリトンは現場の課題を把握すべく全国の情シスにアンケートを実施。アンケート結果から、無線LANの脆弱性を改善しセキュリティが高い無線LANを導入したいものの、リソースが足りていないという情シスのジレンマを、ジュニパーネットワークス株式会社のAI技術とソリトンの認証基盤で解消できることが分かりました。

そこで、情シスへの情報提供として、現状の課題とそれを解決するソリューションをお伝えするウェビナーイベントを2社で共催することに。聴講者からは「テレワークの実現を進めていたので良い話が聞けた」と直接感謝のお言葉をいただくなど、好評のうちに幕を閉じることができました。

アンケート結果から紐解く、無線LANの運用・導入時の課題

株式会社ソリトンシステムズ プロダクトマーケティング部の小川あさぎはイントロダクションとして「アンケートから紐解く、昨今の無線LAN運用・セキュリティの課題とは?」というテーマで講演を実施。全国の情シス1,107名を対象にしたアンケートの結果や、これからの無線LAN運用に求められる考え方について説明しました。

無線LAN導入時に最も重視されているのは「セキュリティ」



今日の企業では、DX推進やハイブリッドワークの普及によって、無線LANを利用する機会が増加しました。これにより、社内と社外をまたいだ通信を行う機会も増え、企業におけるネットワークも広がりを見せています。実際に、アンケートでも4割から5割の回答者が「無線LANの導入・拡張を決定、または検討している」と回答しました。DXの推進は中長期的なテーマのため、無線LAN環境の拡大は今後も続いていくと考えられるでしょう。



無線LAN環境が拡大を見せる中、通信速度や通信の安定性などよりも情シスが重要視している要素が“セキュリティ”です。通信経路が拡大することは、業務の利便性を向上できる反面、悪意のある第三者が企業ネットワークに侵入するための経路が増えるというリスクにもつながります。



また、多くの情シスがインシデントを経験していることもセキュリティが重要視される要因となっています。私用のスマートフォンを社内ネットワークにつないでしまうといった「ヒヤリとする場面」を含めると、6割以上の回答者がインシデントを経験。近年では、VPNの脆弱性を突いたランサムウェア攻撃の事案も増加傾向にあります。よって、セキュリティ強度の高い無線LAN環境を構築することは、企業の大切な情報資産を守るためにも必要不可欠な取り組みといえるでしょう。

情シスを悩ませる人手不足問題

情シスは、無線LANの導入においてセキュリティを最も重要視していますが、ソリトンとしては、“導入や運用の容易さも重要な要素だと考えています。このように考える理由としては、情シスの多くが「人手不足」の課題を抱えている点にあります。


 


情シスは、多様な業務を日々行わなければなりません。

情シスが行う業務の例)

  • ITセキュリティ対策
  • ITシステムの安定運用
  • 利用者の要望対応
  • 社内ヘルプデスク
  • ビジネス環境の変化に伴うシステム対応
  • 経営者の要望に即した新システムの導入

また、経営層が情シスの必要性を理解していないなどの原因から、人材採用や育成が業務環境の変化に追いついていないという企業もあるでしょう。こうした背景から、少数のメンバーで日々の業務を行っている情シスが、無線LANの導入・運用にかけられる時間は限られています。よって、無線LANを導入する際には、導入や運用が容易なソリューションを導入することが重要になってくるのです。

ネットワーク認証の方法を選ぶ際も、“導入や運用の容易さ”は重要な要素といえます。無線LAN環境について示された「企業等が安心して無線LANを導入・運用するために」(2013年1月30日、総務省発表)というガイドラインで望ましいとされているのは、電子証明書(デジタル証明書)またはID・パスワードを使用した認証です。それぞれの認証方法が持つ、長所・短所について見ていきましょう。

 

長所

短所

ID・パスワード

導入・運用が容易

セキュリティ強度が低い

電子証明書

セキュリティ強度が高い

導入・運用に手間がかかる

現在、多くの企業で用いられているID・パスワード認証は、情シスが最も重要視している“セキュリティ”の強度が課題となっています。強度を高める方法としては、ワンタイムパスワードの導入や、複雑なパスワードの利用が考えられますが、どちらの方法も利用者に負荷がかかってしまうでしょう。一方、電子証明書を用いた認証は、導入・運用コストの面で課題があるものの、十分なセキュリティ強度があります。そのためソリトンは、電子証明書の運用性を高めることで情シスが求める無線LAN環境を実現できるのではないかと考えています。

講演の総括について、小川はこう話します。

“私のセッションは、アンケートの結果からお客様が求められている無線LAN環境の要件についてお伝えする内容でしたので「セキュリティと運用性の両立」が求められているというのが一番の肝だと思います。情シスの担当者様は、人手が足りていない中で多様な業務を行っていますので、強度の高いソリューションをいかに容易に導入・運用するのかという点が重要になってくるのではないかと考えています。これから無線LAN環境を構築されるお客様もいらっしゃるかと思いますので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。”

AIが実現するWi-Fiの全自動運用「Juniper Mist」

ジュニパーネットワークス株式会社 エンタープライズ統括第二本部松浦 舜弥氏は「AIが実現するWi-Fiの全自動運用:クラウド型・Wi-Fi Juniper Mist紹介」というテーマで講演を実施。アンケートで明らかになった情シスの「人手不足」という課題に焦点を当て、自社ソリューション「Juniper Mist」導入による運用の変化を提示しながら、課題解決の方法を紹介しました。

ネットワークの拡大による情シスの負担を減らすには?

昨今のビジネス現場では、ネットワーク経路が広がりを見せています。ネットワーク機器を導入する際には、拠点や機器ごとに設定を変更しなければいけません。しかし、一般的なネットワーク機器では、例外設定を入れることができなかったり、柔軟な設計ができなかったりと、情シスの工数が多く、設定ミスや不具合が発生するリスクも高まります。

また、障害等が発生すると現場の社員が業務を停止せざるを得ず、機会損失となる可能性もあるため、ネットワーク機器の運用・管理においては、障害発生時の迅速な対応が重要です。しかし、障害の原因や影響範囲を特定することは容易ではなく、機器やログが膨大で分析しきれない場合や、ユーザーによって障害の原因が異なったりする場合があります。その結果、障害の全容が把握できず、障害対応が長期化してしまうのです。

「Juniper Mist」で運用管理にかかる工数や機会損失コストを削減

このような課題を解決する鍵となるのがMist AIです。AIを活用することで、機器やログのデータを自動的に収集・分析できるほか、障害の原因や影響範囲を高速かつ正確に特定できたり、障害の傾向や予兆を学習したりと、情シスの対応をサポートできます。

そんなAI主体の運用とサポートを実現するソリューションが「Juniper Mist」です。Juniper MistはWi-Fiの運用コスト削減に役立つさまざまな機能を搭載しており、人手不足に悩む情シスの業務負荷を軽減できます。












中でも、お客様の環境と利用状況を日々学習し、電波を自動調整することでユーザー体感を最適化する「電波環境の学習と自動最適化」が強みです。AIが電波傾向とユーザー体感をモニタリング・学習し、電波を自動調整するため、情シスが定期的に電波調査・手動調整をする手間が省けます。さらに、Juniper Mistはユーザー体感の可視化・数値化も可能。「電波調整や手動調整を行っても、実際に最適化されているか分からない」といった不安が払拭され、トラブルやクレームを未然に防ぐことができます。トラブルシューティングの実施以前に、そもそもトラブルが起きにくい環境を作ることが可能となるのです。

さらに、Wi-Fiセキュリティを強化する日本屈指の認証基盤であるソリトンの「Soliton OneGate」を組み合わせ、高度なセキュリティを担保。Juniper Mistを導入することで運用がAIによって全自動化されるだけでなく、安定、快適、セキュアな無線LAN環境の構築も可能となり、情シスが抱える無線LAN導入、運用時の課題を多面的に解決します。

講演のキーメッセージやソリトンとの今後の取り組みについて、松浦氏は次のように伝えます。

“Juniper Mistを導入いただくことで、従来のWi-Fiにありがちな「切れる」「遅い」「つながらない」といった状況から脱却できます。運用コストを削減しつつ、安心安全なWi-Fiネットワークを構築したいとお考えの方は、ぜひお問い合わせください。

そして、ソリトン様の認証サービスは、この「安心安全なWi-Fiネットワーク」をお客様に提供するうえで欠かせない要素です。今後もジュニパーだけではカバーできない認証やセキュリティの面を補っていただく大事なパートナーとして、一緒に取り組ませていただきたいと考えています。”

クラウドで実現する多要素認証「Soliton OneGate」

株式会社ソリトンシステムズ ITセキュリティ事業部 市場開発推進本部 前川裕氏は「クラウドで実現する多要素認証 Soliton OneGate紹介+導入事例」というテーマで講演を実施。アンケートで明らかになった“セキュリティの強度と運用性の両立”という課題に焦点を当てて、課題を生み出している原因や解決策となるソリューションを紹介しました。

無線LANに潜む不正侵入のリスク

昨今、業界・業種を問わずDXが推進され、あらゆる企業において無線LAN環境が広がりを見せています。同時に、無線LANが抱えるセキュリティ面でのリスクも増えており、情シスは情報漏えい対策に頭を悩ませています。実は、無線LANは有線LANよりも情報窃取に気づきにくいというリスクが存在しているのです。

また、正しいID・パスワードさえ知っていれば社員の私用デバイスからでも社内ネットワークへアクセスすることが可能となります。よって、セキュリティ対策を実施しなければ、オフィス以外の場所や許可していない端末など、どこから情報漏えいしてもおかしくない状態になり得るのです。

ただし「何かしらのセキュリティ対策をしておけば大丈夫」というわけではありません。一部の企業では、ネットワーク機器に割り当てられるMACアドレスを用いた認証を行っているケースもありますが、この方法には脆弱性があります。MACアドレスは暗号化されておらず、ツールを使えば外部からでも容易に特定できてしまうため、無線LAN認証の方法として採用するのは望ましくありません。

よって、情報漏えい対策を行う際は、“暗号化された通信で、業務用端末からのアクセスだけを許可する”方法を採用することが求められるのです。

「Soliton OneGate」で強度の高い電子証明書認証を手軽に実現

“暗号化された通信で、業務用端末からのアクセスだけを許可する”方法の一つが、電子証明書を活用した認証です。この方法では、情シスが配布した電子証明書がインストールされた端末からのアクセスのみを許可するため、認証時のセキュリティ強度を高めることができます。ただ、端末への配布に手間がかかるという課題があります。

電子証明書認証を容易に導入するソリューションとしてソリトンが提案するのが、クラウド多要素認証サービス「Soliton OneGate」です。「Soliton OneGate」での電子証明書配布には3つの方法がありますが、その中でも特に手間が少ないのが、専用エージェントを用いて配布する方法です。管理者は利用者の登録と招待コードの発行を行うだけ、利用者は専用エージェントの手順に従うだけで、容易に証明書を配布できます。今後は、利用者が招待メールのURLをクリックするだけで配布が完了する方式にも対応する予定のため、より一層、利用者に負担なく電子証明書を配布することが可能になります。

また「Soliton OneGate」はネットワークだけではなく、Microsoft 365をはじめとするクラウドサービスの認証としても使用することが可能です。アプリケーションの認証含め、利用アカウントをまとめて管理できるため、現場部門が活用するサービスの多様化に対応することができます。












さらに、「Soliton OneGate」は「Juniper Mist」と連携することが可能です。「Juniper Mist」が管理するネットワークに「Soliton OneGate」による電子証明書認証を組み込むことで、ネットワークを安定的に運用できるだけではなく、不正侵入のリスクを軽減することができます。2つのソリューションを連携させることで、情シスが重要視する「セキュリティ・通信速度・通信の安定性」を担保した無線LAN環境を容易に構築できるのです。

講演のキーメッセージや今後の取り組みについて、前川は次のように伝えます。

“Juniper Mist×Soliton OneGateでお客様の求める無線LAN環境を実現できるということを強くお伝えしたいです。Soliton OneGateであれば、セキュリティ強度を高められる上、情シスの方が抱えられている「証明書運用に負荷がかかる」という課題も解決できます。これをネットワーク運用をサポートするジュニパー様のソリューションと組み合わせることで、安定した無線LANを高いセキュリティ強度で運用することが可能です。

ソリトンは「セキュリティの強化と運用負荷の軽減」という課題に対して解決策を持っています。また、国産ベンダーということで、国内企業のお客様に対するサポートも手厚く行っております。現在では、DXなどによるネットワークの拡張に合わせて、クラウドサービスの利用機会も増えているかと思いますので、クラウドで高いセキュリティを実現したいお客様や、セキュリティと運用性を両立した無線LAN構築を検討されている方には、ぜひジュニパー様とソリトンの連携ソリューションをご活用いただけたらと思います。”

情シスが抱える課題を解決したい。講演者それぞれの展望とは

最後に、講演者は今回のイベントを次のように振り返ります。

“私のセッションではアンケートの内容を元に、お客様が求めるネットワークの要件についてお伝えしました。実際にお客様が抱えている「人手不足」や「セキュリティ強度と運用性の両立」という課題に対して、解決策となるソリューションをジュニパー様と一緒に提供しているといったメッセージを打ち出すことができたのは非常によかったと考えております。”(小川)

“今回、ウェビナーを通してソリトンさんと協業関係を深められただけではなく、各社のソリューションだけでは不足している部分を補完した連携ソリューションを訴求できた点もよかったかなと感じております。また、ソリトンさんからアンケートを取得いただいたことで、その内容を踏まえた良いウェビナーをできたのではないかと、手応えを感じました。”(松浦氏)

“私の講演では、電子証明書の配布について説明させていただいたのですが、講演後のアンケートを通して、現在ソリトンがソリューションにて行っている証明書の配布方法でも、「難しい」と感じられているお客様がいらっしゃることを知ることができました。今後はアンケートで頂いたお声を元に、よりお客様が簡単に証明書をインストールできるような仕組みを考えていきたいなと思っています。”(前川)

謝辞

ジュニパーネットワークス株式会社様、イベントの共催並びにインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。

ソリトンでは、今後も各イベントへの出展やセミナー・ウェビナーの開催などを通して情シスの担当者へはもちろん、セキュリティに関するお悩みを抱える担当者に役立つ情報を発信してまいります。みなさまのご来場、ご参加を心よりお待ちしております。

ソリトンの 出展情報はこちらからご確認いただけます。


取材日:2023年8月21日
株式会社ソリトンシステムズ

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム