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ホスト名とは? 調べ方・FQDNやIPアドレスの概要も併せて解説

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ネットワーク通信はIPアドレスを宛先として送受信しますが、私たちが日常的にIPアドレスを直接入力する場面は多くありません。代わりに「ホスト名」や「ドメイン名」といった、人間が扱いやすい名前を使って接続先を指定しています。この記事では、ホスト名の意味と調べ方を整理したうえで、ドメイン名・FQDNなどの近い用語との違いを、混同しやすいポイントに絞って解説します。

ホスト名とは

ホスト名とは、ネットワーク上の機器(コンピューターやサーバーなど)を識別するための名前です。ネットワーク通信そのものはIPアドレスで行われますが、IPアドレスは数字(IPv6では英数字を含む長い表記)のため、人間にとっては覚えづらく、扱いにくいという課題があります。

  • IPv4の例:192.168.0.1
  • IPv6の例:2001:db8:1234:5678:90ab:cdef:0000:0000
  • ホスト名(ホスト部)の例:www
  • FQDNの例:www.example.com

そこで、人間がわかりやすい名前(ホスト名)とIPアドレスを対応付けて使えるようにします。例えば「www.example.com」が「192.168.0.1」と対応していれば、私たちはIPアドレスではなく名前でアクセスできます。

ただし、「ホスト名」という言葉は文脈によって指す範囲が変わりやすい点に注意が必要です。OSの設定画面で表示されるホスト名は「その機器の名前(例:PC-01)」を指すことが多い一方、DNSの文脈では「ドメイン名の中のホスト部(例:www)」を指すこともあります。どちらの意味で使っているかを意識すると混乱しにくくなります。

ホスト名の調べ方

ホスト名はOSの機能で確認できます。Windowsであれば、コマンドプロンプトを開いて「ipconfig /all」を実行すると「Windows IP 構成」の中に「ホスト名」が表示されます。

また、設定→システム→詳細情報と進み、「デバイスの仕様」に表示される「デバイス名」から確認することも可能です。ここで表示される名称は、環境によってはDNSで使う名前(FQDN)ではなく、機器名としてのホスト名のみが表示される場合があります。

macOSやLinuxでは「uname -n」で確認できます。環境によっては「hostname」コマンドや設定ファイルで別名を管理していることもあるため、必要に応じてあわせて確認すると確実です。

「ホスト名」と「NetBIOS名」の違い

Windowsネットワークでは、歴史的に「NetBIOS名」が機器を識別する名前として使われてきました。役割はホスト名と似ていますが、前提となる仕組みが異なります。

NetBIOSやNetBEUI(NetBIOS Extended User Interface)は古い技術で、現在のネットワークはTCP/IPが前提です。Windows環境では、NetBIOSが完全に消えたわけではなく、NBT(NetBIOS over TCP/IP)として残っている場合があります。この場合、NBTの名前解決や通信でNetBIOS名が使われます。

ただし、現在の環境では、DNSやActive Directoryの名前解決が中心になり、NetBIOS名は「互換性のために残ることがある要素」として扱われることが一般的です。トラブルシュートの場面では、DNS名(ホスト名やFQDN)とNetBIOS名が一致しているか、あるいはどちらを参照しているのかを切り分けることが重要になります。

FQDNとは? ホスト名・ドメイン名との違いや関係性

ホスト名を正しく理解するには、FQDNとドメイン名の関係を押さえておくと整理しやすくなります。

インターネット上のWebサイトにアクセスするとき、私たちはDNS(Domain Name System)によって、名前とIPアドレスを対応付けた仕組みを利用しています。例えば、次のようなURLでWebサイトを指定します。

「https://www.example.com/」

この例では「example.com」がドメイン名にあたり、ドメイン(管理単位)を識別する名前として使われます。一方「www」は、そのドメインの中で特定のホスト(サーバー)を指すためのホスト部(ホスト名)として扱われることが多く、「www.example.com」のように連結した名前が、一般にWebアクセスで使う宛先名になります。

そして、FQDN(Fully Qualified Domain Name:完全修飾ドメイン名)とは、途中を省略せずに最後まで書いたドメイン名のことです。実務上は「ホスト部+ドメイン名」を連結した形がFQDNとして扱われるため、この例では「www.example.com」がFQDNに該当します。

ここで混同しやすいのが、「ホスト名」という言葉の指す範囲です。DNSの文脈では「www」のようなホスト部をホスト名と呼ぶことがある一方で、日常会話やOSの設定では「www.example.com」のようなFQDNまで含めてホスト名と呼んでしまうことがあります。厳密に区別したい場合は、「ホスト部(ホスト名)」「ドメイン名」「FQDN」を使い分けると誤解が起きにくくなります。

この記事のまとめ

「ホスト名」は、ネットワークに接続された機器を識別するための名前です。IPアドレスそのものは覚えづらいため、名前とIPアドレスを対応付けて扱えるようにすることで、利用や運用を現実的にしています。

また、ホスト名は文脈によって指す範囲が変わりやすい用語です。Windowsで見えるホスト名(機器名)と、DNSで扱うホスト部、そしてFQDNの関係を整理しておくと、設定やトラブルシュートの理解が進みます。

IPアドレスについてより詳しく知りたいという方は、「IPアドレスとは? 仕組み・確認方法やグローバル/ローカルの違いなど」も併せてご覧ください。

FAQ

ホスト名とは何ですか?

ホスト名は、ネットワーク上の機器を識別するための名前です。IPアドレスの代わりに、人間が扱いやすい名称で接続先を指定できるようにするために使われます。

なぜIPアドレスではなくホスト名を使うのですか?

IPアドレスは数字や英数字の羅列で覚えづらく、運用上も扱いにくいからです。ホスト名とIPアドレスを対応付けることで、分かりやすい名前で通信先を指定できます。

ホスト名はどのように確認できますか?

Windowsなら「ipconfig /all」で「ホスト名」を確認できます。設定画面の「デバイス名」に表示される名称から確認できる場合もあり、macOSやLinuxでは「uname -n」で確認できます。

ホスト名はDNSと関係がありますか?

DNSは、名前とIPアドレスを対応付ける仕組みです。DNSの文脈では、ドメイン名の中のホスト部(例:www)や、それを含む宛先名(例:www.example.com)が接続先を示す名前として使われます。

ドメイン名とは何が違うのですか?

ドメイン名は、インターネット上でドメイン(管理単位)を識別する名前です。例として「example.com」がドメイン名にあたり、その中で特定ホストを示すホスト部(例:www)と組み合わせて接続先を表します。

FQDNとは何ですか?

FQDNは、途中を省略せずに最後まで書いた完全修飾ドメイン名です。一般に「ホスト部+ドメイン名」を連結した形で表され、例では「www.example.com」がFQDNに該当します。

ホスト名とFQDNは同じものですか?

同じ意味で使われることもありますが、厳密には一致しません。DNSの文脈では「www」のようなホスト部をホスト名と呼ぶことがあり、FQDNは「www.example.com」のように省略なしで書いた名前を指します。

「ホスト名」と「NetBIOS名」は何が違いますか?

どちらも機器を識別する名前ですが、前提となる仕組みが異なります。NetBIOS名は古いWindowsネットワークの仕組みで使われてきた名前で、現在はDNSやTCP/IPが中心になり、NetBIOSは互換性のために残ることがある要素として扱われます。

NetBIOSは今も使われていますか?

環境によってはNBT(NetBIOS over TCP/IP)として残っている場合があります。ただし現在の運用ではDNSが中心になることが多く、NetBIOS名は互換性や一部の通信で参照される可能性がある、と理解しておくと整理しやすいです。

結局、ホスト名の理解で押さえるべきポイントは何ですか?

ホスト名は「機器を識別する名前」ですが、OSの設定で見える機器名を指す場合と、DNSでいうホスト部やFQDNを指す場合があります。ドメイン名とFQDNとの関係を整理し、どの文脈で使っている言葉かを意識することが重要です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム