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テレワークのスタンドアロン方式とは? | 使いどころとリスクを解説

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目次

スタンドアロン方式とは?向く業務・弱点・注意点を解説

スタンドアロン方式は、オフィスのネットワークにもクラウドにもつながず、あらかじめ端末や外部媒体へ入れておいたデータだけで仕事を進めるテレワーク方式です。回線が不安定な場所や、短い期間だけの持ち出し、限られた作業では使い道があります。

ただ、日常の主力として広く使うには弱点が目立ちます。最初にデータを外へ持ち出すため、紛失、盗難、コピーの広がり、版のずれが起きやすく、最新情報を見ながら進める仕事や共同で進める作業には向きません。ネットワーク経由の危険は減っても、持ち出しによる危険まで消えるわけではありません。

  • 向く場面:オフライン作業、短期の持ち出し、非常時の代わり
  • 弱い点:データを外へ出す危険、版ずれ、コピー管理の難しさ
  • 見る分かれ目:常時オンラインが要るか、端末へ保存してよいか

方式全体の中でどの位置にあるかは、テレワーク方式の比較で確認できます。オフラインの条件から方式を考えたい場合は、テレワーク方式の選び方もあわせてご覧ください。

スタンドアロン方式とは

基本の考え方

スタンドアロン方式とは、オフィスのネットワークへつながず、あらかじめ端末や外部媒体へ保存しておいたデータを使って仕事を進める方式です。公的な資料でも、社内ネットワークへ接続せず、保存済みデータで業務を行う方式として整理されています。

総務省の手引きでも、会社が支給した端末の場合と、個人所有端末の場合を分けて、スタンドアロン方式の対策を見られる形になっています。

「つながないから安全」とは言えない

通信に頼らず作業できる一方で、持ち出したデータは使う人が管理しなければなりません。オンライン前提の方式と違って、「つながっていないから安全」と思われがちですが、実際には持ち出した時点で、紛失、盗難、コピーの広がりといった別の危険が増えます。

どういう形で使うか

作業の進め方

構成は単純です。会社が支給したPC、または許可された端末へ必要なファイルをあらかじめ保存し、そのまま自宅や外出先へ持ち出して使います。USBメモリや外付け媒体でデータを運ぶ場合も含まれます。ネットワークへつながないため、作業中に社内システムを見たり、クラウド上の最新データを確認したりはできません。

管理の手間

単純だから管理しやすそうに見えますが、実際には「どの版を持ち出したか」「戻ってきたファイルを何と差し替えるか」「コピーがどこに残ったか」を追う必要があります。回線や基盤の負担がないぶん、ファイル管理そのものに手間がかかります。

ほかの方式との違い

スタンドアロン方式がほかの方式と大きく違うのは、仕事の最中にオフィスのネットワークやクラウドへ常時つながない点です。接続基盤に頼らないため、通信が不安定でも作業は進めやすい一方、必要なデータは先に外へ出して管理しなければなりません。

方式接続の考え方端末へデータが残るか向く場面
スタンドアロン方式常時つながない残りやすいオフライン作業、短期の持ち出し、非常時対応
VPN方式社内ネットワークへつなぐ残りやすい既存システムを社外から使いたい場合
リモートデスクトップ方式社内PCへ遠隔でつなぐ残しにくい社内PCの環境をそのまま使いたい場合
VDI方式仮想デスクトップへつなぐ残しにくい統制を重く見て広く運用したい場合
クラウドサービス方式クラウドへ直接つなぐ設定しだい最新データを共有しながら進めたい場合

VPN方式は社内ネットワークへつないで既存システムを使いやすい反面、端末側の保存や設定に注意が要ります。リモートデスクトップ方式VDI方式はデータを端末へ残しにくい一方で、通信品質の影響を受けやすくなります。クラウドサービス方式は最新データを共有しやすいものの、常時オンライン前提の運用になりやすいです。

スタンドアロン方式は、回線につながりにくい場所で作業したいときや、先に用意したファイルだけで仕事が完結するときに向いています。一方、最新情報を見ながら進める業務や、端末へデータを残したくない業務では、ほかの方式のほうが合っています。方式全体の比較は、テレワーク方式の比較で整理しています。

利点

通信環境に左右されにくい

最も分かりやすい利点は、通信環境に左右されにくいことです。回線が細い、圏外になる、移動中でつながらないといった状況でも、保存済みデータを使う範囲なら作業できます。

新しい仕組みを増やさず始めやすい

VPN機器や新しいクラウド契約を急いで入れなくても、端末とファイル管理のルールを整えれば検討しやすい方式です。接続基盤を増やさず、保存済みデータで業務を行う前提なので、短期の代わりとしては考えやすい形です。

一時利用なら使い道がある

日常のテレワークの主力には向きませんが、短期の持ち出し、緊急時の代わり、現場での一時的な処理には使い道があります。常時つなぐ方式をすぐ整えられない場面では、暫定の手段として使えます。

対象業務を絞れば回しやすい

必要なファイルが先に決まっている業務なら、比較的回しやすいです。たとえば、決まった帳票の作成、参考資料の閲覧、外出先での説明資料の表示、定型文書の修正などが当てはまります。

弱点

データを外へ出す危険が大きい

スタンドアロン方式の弱点は分かりやすいものです。必要なデータを最初に外へ出すため、紛失や盗難がそのまま情報が漏れる事故につながりやすくなります。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、スタンドアロン(持ち帰り)方式は、端末へデータを保存するため、紛失や盗難、不正な操作による情報が漏れる危険があると示されています。

最新情報とずれやすい

つながない以上、ファイルは持ち出した時点の版で止まります。共同で直す仕事、最新の在庫、最新の顧客情報、承認状況のように変わり続ける情報には向きません。更新が多い仕事をスタンドアロンで進めようとすると、古い情報のまま処理してしまうおそれがあります。

コピーが増えやすい

端末内やUSB、バックアップ、別フォルダなどに、気づかないうちに同じファイルが複数残ります。どれが最新版か分からなくなりやすく、削除漏れも起きます。接続の仕組みは単純でも、ファイルの所在を追う作業はむしろ面倒になりがちです。

日常の主力には向きにくい

日々情報が動く仕事では、持ち出しと持ち戻しを毎回管理する負担が重くなります。方式として成り立っても、毎日続けるには無理が出やすいです。そのため、用途を限って使うほうが現実的です。

向く業務・向かない業務

向く業務

向いているのは、必要なファイルが先に決まっていて、オフラインでも終えやすい作業です。たとえば、移動中の資料確認、現場での説明用データ表示、定型書式への記入、通信が不安定な場所での下書き作成などです。通信が不要であること自体に価値がある場面では、かなり素直に使えます。

また、災害時や障害時の代わりの手段として考える余地もあります。普段はオンライン方式を使い、非常時だけ必要資料を持ち出して業務を続ける、といった限定運用なら成り立ちます。

向かない業務

最新情報の参照が要る業務、共同で直す作業、承認の流れ、顧客DBの更新、社内システムをまたぐ処理には向きません。つまり、「ネットにつながっていないと意味がない仕事」には向かないのです。これを無理にやろうとすると、結局どこかで私用回線や私用クラウドを使い始めます。

選ぶ前に見る点

スタンドアロン方式を検討するときは、次の三点を先に確認すると判断しやすくなります。

  • 仕事の最中に常時オンラインである必要があるか
  • 端末へ保存してよいデータの範囲を決められるか
  • 持ち出し後の削除、回収、版の管理まで回せるか

この三点のうち一つでも無理があるなら、スタンドアロン方式を主力にするのではなく、VPN方式やクラウドサービス方式、リモートデスクトップ方式などを含めて比べたほうが安全です。導入判断の全体像は、テレワーク方式の選び方でも整理しています。

気をつけたい点

暗号化は外せません

端末や外部媒体を持ち出すなら、暗号化は外せない対策です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、スタンドアロン(持ち帰り)方式では、暗号化、遠隔消去、必要な分だけの持ち出し、インターネット利用時の対策が必要と示されています。これらを外すと、紛失や盗難がそのまま情報が漏れる事故につながりやすくなります。

持ち出すデータは絞る

必要な分より多く持ち出すほど、事故時の被害は大きくなります。とりあえず全部コピーしておく、という運用は避けるべきです。何を持ち出したかを記録し、要らなくなったら削除する流れまで決めておく必要があります。

USBメモリの扱いを軽く見ない

USBメモリは便利ですが、置き忘れやすく、小さいぶん事故に気づくのも遅れがちです。使うなら、利用を許可した媒体に限り、暗号化を必須にしたうえで、持ち出し記録と返却確認まで行う必要があります。媒体の自由利用を認めると管理できません。

戻し方と消し方を決める

作業後のファイルをどう戻すか、古い版をどう消すか、端末内の一時保存をどう確認するかを決めておかないと、持ち戻したあとにコピーが残ります。放置すると、どこかの端末に古い機密ファイルが残り続けます。大事なのは、持ち出し後の運用ルールをどこまで具体的に決めるかです。

オフラインでも安全とは限りません

ネットワーク経由の攻撃は受けにくくても、紛失、盗難、誤送付、誤保存、のぞき見の危険は残ります。オフラインは安全なのではなく、危険の種類が変わるだけです。そこを見誤ると、単なるデータ持ち出し運用になります。

持ち出し全体の危険の考え方は、テレワークセキュリティの基本でも整理しています。

BYODを使うときの注意

スタンドアロン方式とBYODの組み合わせは、かなり慎重に考えるべきです。個人の端末へ会社データを直接保存しやすく、会社が消去や設定の強制を十分にかけにくいからです。方式そのものが持ち出し前提なので、BYODにすると管理が最も難しい形になります。

どうしてもBYODを認めるなら、端末の暗号化、画面ロック、OS更新、業務データの保存場所の限定、利用期間、削除確認、問い合わせ先まで決める必要があります。それでも、会社が支給した端末のように管理や統制を徹底できない部分は残ります。私物端末へ自由に保存できる状態を認めると、会社側の統制は大きく弱まります。

スタンドアロン方式で機密度が高いデータを扱うなら、BYODは避けたほうが安全です。BYOD全体の考え方は、テレワークBYODとは?会社支給端末との違いとリスクで詳しく解説しています。

もう一つ見落としやすいのが、持ち出す対象の選び方です。スタンドアロン方式では、通信できない不便を見越して、必要以上にデータを入れがちです。ですが、その余分な持ち出しが事故時の被害を大きくします。関係ない顧客データ、過去案件、社外秘資料まで抱えて外へ出れば、影響範囲は一気に広がります。事故時の影響を抑えるには、持ち出すファイルを必要なものに絞る必要があります。

また、作業後のファイルを社内へ戻したあとに、元データと新データのどちらを残すのか、バックアップはどこへ置くのか、媒体はいつ消すのかまで決めておく必要があります。スタンドアロン方式は、接続基盤が要らない代わりに、ファイルの寿命を人が継続して管理しないと崩れやすい方式です。この点を曖昧にすると、古い版や不要なコピーが残り続けます。

どんな企業に向くか・向かないか

向きやすい企業

スタンドアロン方式が向きやすいのは、通信が不安定な場所での業務がある企業、短期の持ち出し用途が中心の企業、端末へ保存してよいデータの範囲を明確に決められる企業です。常時つながなくても進められる作業が一定量あり、持ち出したデータの削除や回収まで管理できるなら、限定用途としては現実的です。

向きにくい企業

逆に、共同編集が多い企業、常に最新情報を見ながら進める企業、端末内のコピーや削除を継続して管理できない企業には向きません。方式として成り立つかだけで判断すると、運用開始後に版ずれや不要なコピーが増えやすくなります。

よくある質問

Q. スタンドアロン方式は古いやり方ですか

新しさはありませんが、不要な方式ではありません。通信が使えない場所や短期の代わりの手段としては今でも意味があります。ただし、日常の主力にするには弱いです。

Q. スタンドアロン方式ならネットワーク経由の攻撃を気にしなくてよいですか

気にしなくてよいわけではありません。作業中のネットワーク依存は減りますが、持ち出し前後の感染、USB経由の持ち込み、紛失、盗難、のぞき見など別の危険があります。

Q. いちばん大事な対策は何ですか

暗号化、持ち出しデータの絞り込み、外部媒体の管理、作業後の削除確認です。これらを外すと、方式の弱い点がそのまま表に出ます。

Q. どんな業務に向いていますか

定型文書の修正、資料閲覧、現場へ持参したデータの確認など、先に必要ファイルが決まっていて、オフラインで終えやすい業務です。

Q. 会社が支給した端末とBYODのどちらがよいですか

スタンドアロン方式では、会社が支給した端末のほうが管理しやすく、安全も確保しやすいです。BYODは個人端末に会社データが残りやすく、統制が弱くなるため、慎重に判断する必要があります。

Q. 日常の主力方式として使えますか

主力にすること自体はできますが、主力向きとは言いにくいです。情報更新や共同作業が多い仕事では運用が苦しくなりやすいため、限定用途か非常時向けと考えるほうが現実的です。

Q. VPN方式との違いは何ですか

VPN方式は社内ネットワークへつないで既存システムを使いやすい方式です。一方、スタンドアロン方式は社内ネットワークへつながず、先に持ち出したデータだけで作業する点が大きく異なります。

Q. USBメモリを使ってもよいですか

使うなら、利用を許可した媒体に限り、暗号化、持ち出し記録、返却確認まで含めて管理する必要があります。自由利用を認めると、紛失やコピーの管理が難しくなります。

Q. どんな企業に向いていますか

通信が不安定な場所での業務がある企業、短期の持ち出し用途が中心の企業、端末へ保存してよいデータの範囲を明確に決められる企業には向きやすいです。

Q. 選ばないほうがよいのはどんな場合ですか

最新情報の参照が常に必要な業務、共同編集が多い業務、端末内のデータ削除や回収を継続して管理できない組織では、スタンドアロン方式を主力にしないほうが安全です。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム